新書10冊で日本の政治に詳しくなるマラソン

というのを始めてみようと思います。

いつも投票には行っているものの、元役人ということもあって野党は信用していないので惰性で自民党に入れており、誰がどんな政策を掲げているのか、各党どういう経緯で出てきたのか、今の政治制度はどうなっているのか、にまったく無頓着でした。

今般、3つほどきっかけがあり、日本の政治についてインプットしてみるかと思ったので、その過程を書いてみます。

きっかけその1:杉並区長選

こちらも投票には行ったものの、特に誰にするか決めておらず、まあ現職の自民党候補かなあと思ったのですが、無所属の野党相乗り候補の杉本聡子さんがけっこう演説でよく声を聞いていたのと、むかしむかし出口治明さんが「日本の政治家は年寄りの男性ばかりだから、誰に投票していいかわからなかったら若者か女性に投票しなさい」と言っていたのを思い出し、杉本さんに入れました。

そしたらまあ、なんと現職を187票差で破って当選。100人くらいが投票行動を変えていたら逆転していたことになるので、1/100になってしまった・・・。

これはまあ、参加することによって変わることもあるんだなあという体験になりましたね。

なおその杉本聡子さん、国際NGOで働いていていわゆる左翼市民活動系っぽい出自だったので、当選したは良いけどパフォーマンスが多くて行政の実務が回らないんじゃないかと心配したら、最初の記者会見がものすごくまともで仕事のできるCEOみたいだったので期待してみます。

きっかけその2:安倍元総理暗殺

まあこれはねえ、衝撃的でしたよね。その一週間後に参院選だったので投票しましたけど、このときも各党の政策ほぼ知らずに自民党に入れましたよ。

選挙後に、「国民民主党が割といいらしい」と聞いたので、ちゃんと各党の政策も知らないとダメだなと思いました。

きっかけその3:おっさんになった

それなりに中年になってきて、「少しでもマシな世の中を次の世代に残す」みたいな感覚が出てきました。

地域の活動や政治などにも、無理のない範囲でかかわっていったほうが良いのかなあとか。

ということで日本の政治に詳しくなる新書10冊マラソン

こういう「真面目な知識をお手軽に摂取したいとき」は新書に限ります。新書はその道の専門家がけっこう本気で一般人向けに書いてくれているので。私が好きなのは中公新書とブルーバックス。

書籍のラインナップに当たっては、まず「政局」をインプットし、それから「制度」に流れていこうかと思います。

「政局」は誰と誰がくっついたとか離れたとか、多数派はどこだとかそういう話。政治の本質ではありませんが、歴史を知ってないと何もわからない。

その後、ここ30年くらいの政治の流れを作った制度改革の話に触れて、最後に民主党政権と安倍政権の検証本を読んで締めようと思います。

戦後政治史

最初の一冊はこれ。学生時代に読んで名著だったもの。その後時代が進み、改訂をしているのが「安倍ガー」の山口二郎なので心配しかないのですが、さすがにこの本で自分の主義主張をまき散らすことはしなかったようで、淡々とした記述になっています。そうは言ってもときどき漏れてますけどね。

タイトルどおり、マッカーサーがやってくるあたりから第二次安倍政権までをコンパクトに振り返る内容になっています。

今の有力政治家たちの父親世代とか出てきて、マンガの主人公の師匠世代のスピンオフ作品読んでる気分になります(ならない)。若き日の宮沢すごいな。

竹下、海部、宇野、羽田、細川、小渕、福田、村山内閣とか、三位一体の改革とか、あったねー。

平成デモクラシー史

アラフォーの私にとって、社会人生活の大半は平成であり、キャリア初期は小泉政権下で官僚だったので、政治の記憶は「小泉」→「民主党」→「安倍」です。

平成の30年をより詳細に振り返る一冊。

日本の統治構造

上記二冊を読むとわかりますが、90年代の政治改革・行政改革(小選挙区制の導入と橋本行革による首相権限の強化)が派閥と省庁の力を弱め、官邸主導・首相トップダウンの政治になり、選挙は「政権の担い手」を誰にするのか有権者が賭けるイベントになりました。

それまでは中選挙区制で派閥が政党並みの組織と実力を持っていたので、首相といえどもそんなに強権はふるえなかったんですね。

また、中選挙区制では票が割れてもいろいろな政党が議席を取れたから、憲法9条みたいな単品のイシューで野党も成り立ったけど、小選挙区制になってからは「政権の担い手」を見せないと対抗馬にはなりにくくなったと。

そういうことを分析してまとめたのがこちらの本です。

国会議員の仕事

自民党と民主党の国会議員二名が、「なぜ政治家になったのか」「どんな仕事をしているのか」「普段の生活は」などを「生身の人間として」「具体的に証言」したもの。

特定個人の生々しい話として、国会議員ってどういう人なんだろうと知る面白い本ですね。

日本の国会議員

日本の国会議員について、その出自や支持基盤などをデータで統計的に分析したもの。先ほどの『国会議員の仕事』が個人の告白だったのに対し、こちらはマクロ的な分析です。

日本の地方政府

政治・行政あわせた日本の地方政府についてまとめた本。地域のこと、地元のことにもかかわっていかないとダメだなと思ったので買いました。

日本の地方議会

地方議会について、仕事や成り手、選挙やお金についてまとめたもの。

自民党 「一強」の実像

第二次安倍政権の強さを背景に、自民党という「仕組み」を徹底解剖したもの。

流れとしては90年代の政治改革後の党の変質を描きながら、地方組織や友好団体、政策決定プロセスを明らかにしています。小泉と安倍では政治手法の面で重要な違いがあるとする視点は面白いです。

民主党政権 失敗の検証

我々アラフォー世代には強烈なトラウマを残した民主党政権。救世主のように迎えられながら、なぜあんな体たらくだったのか。本当にいったい何をしたらあんなにひどいことになるのか。その疑問を総括してくれています。

なお私は元役人なので、野党に政権担当能力があるわけないと思って民主党には入れませんでした。ほんと、新入社員を見てるみたいだったよね・・・。

検証 安倍政権

新書マラソンの最後は安倍政権の総括。とんでもない事件で非業の死を遂げた安倍さん。アベノミクスはよく聞いてたけど、具体的にどういうことをしたのかそれほど知ってるわけじゃないなあと思い、今回の死をきっかけにその仕事をたどってみたいと思いました。

新書マラソンをするきっかけでもあり、政治にちゃんと関心持たないとなあと思ったきっかけでもあります。若者に本当に人気あったんだねえ。

おわりに

新書10冊、予算一万円ほどで日本の政治に詳しくなるマラソンでした。毎日の生活と仕事に心血を注ぐのも良いけど、国全体を強くしていかないとマクロでは負けていくよと思ったので、これからは政治に関心を持って投票していこうと思います。

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